2018年4月28日から5月2日まで、関西は大杉谷から大峰山までを歩いてきました。
二日目のこの記事では大杉谷から大台ヶ原、標高は1,695m、日本屈指の多雨地帯の山を登ります。
前回は大杉谷突入編ということで、桃の木小屋までの工程を描かせていただきました、今日は桃の木小屋を出発して大台ヶ原、そして二日目の宿がある和佐又山ヒュッテに向かいます。
前半戦は美しい渓谷、大杉谷随一の美しさを誇る堂倉滝、中盤で大台ヶ原の広々とした景色、そして最後に和佐又の静かな森という三部構成でお送りいたします。
紀伊半島、伊勢湾台風の傷跡が生んだ笹と倒木の景色が広がる奥深き山、大杉谷からゆく大台ヶ原登山編スタートです。
大杉谷から大台ヶ原登山に関して
桃の木小屋から大台ヶ原へ、大杉谷の奥地を歩く。
2018年4月29日4時30分、桃の木小屋。
おはようございます、結構スッキリ起きれた関西遠征二日目、前日に気合を入れた準備をしていたおかげで、朝ごはんであるカロリーメイト4本もすんなりと食べることができました。
朝は粉ポカリスエットとマルトデキストリンを使用して前半戦で使うドリンクを作ります。
怪しい白い粉とも呼ばれるマルトデキストリン、ウイダーinゼリーなどに使われるエネルギー源になっているデンプンみたいなもんです。
今回の遠征では午前中はずーっとこのマルトデキストリンを飲みながら歩いていました。
気合を入れて外に出てみれば外は明るくなっていました、流石にまだ太陽は差し込んでいないようですが、今日もいい天気みたいですね。
午前5時55分、大台ヶ原登山編スタート。
あれ、大杉谷にも七ツ釜の滝があるようですね、西沢渓谷とどちらが素晴らしいんでしょうか?
大杉谷の奥地は粟谷小屋でしっかりと整備が行き届いております、今日もがっしりとした橋を歩くぜ。
新緑がみなぎるGWの大杉谷です。
大杉谷を更に奥に進む本日。大杉谷は桃の木小屋から先が本気と言えるような世界です、相変わらずの鎖の多さですがここから先は渓谷の激しさも増していきます。
ドロドロの藻が岩肌を覆います、なんだこれは……。
谷底の岩の色合いは白く、水が触れないであろう場所は黒、白黒はっきり別れた岸壁の景色が面白い。
谷を削って作ったであろう道が続きます、よくこんなところに道を通したな……。
大台ヶ原に向けて標高を上げていく関係上、今日は登道を歩き続けます、その標高差1,200m。
結構ヘビーなんです、なめてかかると足がつるので注意です。
ところどころ現れる小さな滝も、一つ一つが被写体としての力を持っています。
巨大な岩がゴロゴロと転がり、地面は清流によって長い時間をかけて削られたことがよくわかる景色が広がります。
シャクナゲが勢いよく咲き誇ります、今年はあたっているのだろうか、すごい株の数だ。
午前6時10分、大杉谷七ッ釜滝。
滝の名所大杉谷の見どころの一つ、七ッ釜滝へ到着しました、目の前にはザーザー音を立てて流れる滝が見えます。
七ッ釜滝は全長が非常に長く、写真一枚で納めることがなかなか困難な景色でした。
ここは紅葉の時期には素晴らしい景色になること間違いなしな景観が広がっており秋の大台ヶ原登山の際には是非ともおすすめできるスポットに感じました。まだ新緑もまばらなGWですら景色が美しい。
岩肌の迫力は満点、七ッ釜滝を撮影するときは是非ともズームレンズを持ってきてほしいですね。
七ッ釜滝を越えてからは再び鎖と吊橋が始まりますが、徐々に上り坂が増えてきます。
まだ日が差し込まないので薄暗い谷底歩きが続きます、時折咲いてるシャクナゲが物憂げな雰囲気出してて好き。
大杉谷から大台ヶ原に行く場合、5月中盤以降になると大台ヶ原周辺のシャクナゲが一斉に開花して素晴らしい景色を楽しめるそうです。歩いた感じ瑞牆山みたいなシャクナゲ祭りを楽しめそうでした。
さて、シャクナゲポイントが終わると光滝に向かって険しい場所を歩くことになります。ここからは巨岩と絶壁が続く渓谷が始まります。渓谷の左側に作られたか細い登山道を登っていきます。
上流のため水の勢いはそれほどでもなくなりましたが、深い溜池みたいな場所が増えてきています。
水深はなかなか深そう。
登山装備で落ちようものなら底を歩いて岸に向かうしか助かりようがなさそうだ。そしていつの間にか自分の周りの岩が真っ白になっていることに気がつきました。
時折岩が湿っていたり、洗濯板みたいだったりとヒヤッとするところがあり、七ッ釜滝から先も気が抜けない。
目の前に広がる岩という岩。どうやら目の前の岩だらけの壁を上がっていかなくてはならないようです、マジかよ。
なんだか蟻になった気分です、この巨大な岩の中を歩くっていうのはトムラウシのロックガーデンでも味わったけど楽しいんですよね。大杉谷の巨岩地帯はトムラウシと違い岩が風化しておらず、角が鋭い状態のものが多いので注意です、装具が削られます。
登っていくと結構な高度感のある場所までたどり着きました、これ岩が積み上がってできているのが凄い。
岩の山を登り切ると反対側は天然の防砂堤防の様相でした、巨大な岩などは全くなく水も伏流水になってしまったのか、これまでとは全く違う景色が広がっています。
大量の小石が積み上げられたテーブルのような岩、道がわかりづらいのでみんな積み上げたのかな……。
ここは目印を見失うと登り方がわからなくなりそうなのが怖いところでした。
砂利が敷き詰められた谷底は足跡などはなく、一度道を失うと戻れなくなりそうな怖さがあります。
基本的に道は左岸に沿って作られているので、このへんでウロウロして変なところに入らないようにしたいですね。
振り返ると穏やかな景色、さっきまで巨岩に揉まれていたとは思えない景色だ。
砂利の広場で一瞬道がわからなくなりましたが、左岸に戻ったらちゃんと壁づたいに道がありました、セーフ……!
鎖のついた坂を登り切ると、登山者向けの警告看板が出てきました。いや、ここまで来るのに結構危ないところありましたけど、ここで警告するんかい!も少し早くしろーー!
看板の先にあったのは光滝と呼ばれる結構大きな滝でした、でも堂倉滝や七ッ釜滝に比べるとあんまりきれいじゃないかなー。水量も多いわけではないので、長秒で撮影してもなぁーと思ってしまい、ここはスルー。
随一の水量を誇ると言われる堂倉滝が早く見たいのですが、そのへんの渓流は勢いを失ってきており、この先に本当にすごい滝があるのか若干不安です。
光滝をすぎると水とも疎遠になり、ひたすら鎖とお友達をなることを推奨されます。
隠滝吊橋に到着しました。隠滝はその名の通り非常に見えづらいところにあるので撮影できませんでした。
何本目の吊橋だったかもはや思い出せない!!
隠滝吊橋を過ぎたあたりでついに陽光が刺してきました、森に太陽の光が差し込みすべてが色を持ち始めます。
ひんやりとしつつも湿度が高くベタついた空気を持っていた大杉谷、しかし太陽が出てきたおかげで少しだけ気分が良くなりました。相変わらずすごい量の汗は吹き出てますけど、この先も頑張って歩けそうです。
日が差し込み新緑も目覚めを迎える。
堂倉滝、大杉谷随一のフォトスポットを越えて粟谷小屋へ
まずはダムが現れます、これまでの清流の上流にダムがあったなんて誰が予想しただろうか。ていうかダムがあるのに下流あんなに透き通った水が流れていたとはおそるべし。
ダムの水を見て思わず笑ってしまう、なんだこれすごい美しい。
ユーシン渓谷の美しさよりもすごいかもしれない、南の島の海岸のような透き通った宝石のような水がダムには溜められていました。
色の薄いエメラルドが沈んでるんですよって言われてもおかしくないぞ。
午前7時50分、堂倉吊橋。
堂倉吊橋を渡ると大杉谷最大の見どころ、堂倉滝が登場します。
大音量で流れ落ちる滝、そして周囲にはアカヤシオつつじ。真っ青な滝つぼと岩が美しい、猪ヶ淵以上にお勧めできるフォトスポットが登場します。
吊橋から見ると堂倉滝はご覧のような感じ、吊橋を渡った先には吊橋の下に降りれるようなスペースもあるため近づいて写真を撮影することもできます。
とりあえずこんなにフォトジェニックな滝があるならやるしかないということで三脚を立てて長秒撮影をさせてもらうことにしました。何やら釣り人の方が下にいましたが、ここは釣りスポットにもなっているのかな?
下に降りて三脚を立てるとご覧のような景色を撮影することに成功しました。
端的に言って大杉谷で一番好きな滝です。迫力もあるし水量もあるし、周りの景観も最高です!!
何より時期的に偶然アカヤシオが咲いていたのがよかったです。
思う存分堂倉滝を撮影させていただきました、58㎜f1.4も大活躍したので満足!!
堂倉滝は三脚を立てて撮影する場合かなり楽しめる場所だと思います。それまでの七ッ釜の滝や猪ヶ淵よりも自由度が高いので、大杉谷を訪れた際は是非立ち寄ってほしいと思うところでした。
堂倉滝を越えてからは大台ヶ原への本格的な登りが始まります。渓流とはおさらばになり、針葉樹が目立ち始める原生林の中を歩くことに。
日出ヶ岳まで4キロほど、普通に歩けばそんなに時間はかからないかな?登山口から10キロしか歩いていないことに驚きです、密度の濃い登山道だここは。
登山道を覆いつくす巨大な根が至る所に張り巡らされています。
朽ち木だってちゃんと見れば面白いものなので、ここで楽しくなく感じてしまうのは単純な体力不足を疑ったほうがいいのかもしれない。
まずは堂倉小屋、ですがその先の粟谷小屋を目指す勢いがいいかな。
なぜかというとこの時期の堂倉小屋は「封鎖されている」からです。登山客のマナーが悪すぎて粟谷小屋が営業しているときは封鎖するとのことでした。
午前9時00分、大杉谷、粟谷側登山口。
大杉谷をついに抜けて粟谷小屋の手前の林道にやってきました。ここまでで大杉谷登山編は終了で、ここからが大台ヶ原登山編といった感じです。
まず目指すは粟谷小屋、ここで粟谷小屋によらないっていうのはいろいろ損するので絶対に粟谷小屋に立ち寄るように心がけましょう!
堂倉小屋から少しだけ離れたところにある粟谷小屋ですが、大杉谷を抜けた先の休憩スポットとしては最適な環境がそろっています。ファミリー登山ならさらにここで一泊する勢いだと、大杉谷で楽しい思いができると思う。
大台ヶ原山へ、大杉谷からゆくシャクナゲの山
粟谷小屋です、林道が走っているので物資を車で輸送できるようですね。ここはパンフレットを見てもこぎれいな小屋でお勧めな感じなので、ぜひ泊まってみたい。
粟谷小屋で注目すべきは水場、大台ヶ原の天然水がジャバジャバと流れています。ここで大杉谷で失ったミネラルとウォーターを補給しましょう。
大杉谷は暑すぎることはないんですけど湿度が高いんですよね、だから汗をかきます。その結果、結構な水分がこの手ぬぐいに吸収されていくこととなりました。それを今こうして洗濯して干すことができるなんて……、最高岳、最高岳。
桃の木小屋を出発していい時間が過ぎたのでお弁当を食べることにしました。桃の木小屋のお弁当はこのような感じで、お肉成分多めでパワー系。たくあんの塩味がいい感じで、汗で失われた塩分を潤沢に補給させてくれます。
粟谷小屋の景観はご覧のような感じです、一応バッチは桃の木小屋で購入したから粟谷小屋には寄らないでいいかな……。中はどちらかというと普通のお宿っぽい雰囲気で、山小屋っぽさはないところなんです。
粟谷小屋でご飯を食べて、元気が回復したところで日出ヶ岳を目指し再出発です。
午前9時40分、堂倉小屋。
粟谷小屋から直接次の目的地であるシャクナゲ平に行くことも可能なのですがブログの見栄え的にみんなが通るであろう堂倉小屋を通らないのは良くない。ということでわざわざ堂倉小屋まで戻ってきました、その距離150mくらいか?
堂倉小屋に来てみれば、なんと施錠されていて使用不可能!!なぜかという理由を読んでみれば「使ってる人のマナーが悪いので閉鎖」という非常に心苦しい理由が書かれていました……、登山者のマナーって別に良くはないからこれは妥当な処置かなぁと思いました、ごみとか置いてく人多いもんね……。
小屋を越えてシャクナゲ坂、まだシーズンではなく、シャクナゲの木がものすごい本数生えていても咲いているものはまったくありませんでした、なので無心で登ってしまったよ。
午前10時25分、シャクナゲ平。
シャクナゲ平に到着しました、この付近はシャクナゲ坂以上にシャクナゲが多く。
シーズンが到来すれば大台ヶ原=シャクナゲの山と思えるくらいの景色が広がるのでは?
シャクナゲ平を過ぎたくらいで全国総体の登山コースだったという標識が。
高校登山部の大会とかで使われたコースなんだろうか、結構きついコースを歩くんだな。
大台ヶ原へ向かう途中には鎖が出てくるところもまばらに、岩がしっかりしているから鎖をつかむよりも岩をつかんだほうが安定する感じ。
倒木が沢山続きます、結構立派な木が根こそぎ倒れている、聖岳の登山道みたいだ。でも丁寧に倒木の下に登山道が通っていたり、アトラクションのような様相。
この辺ですれ違う方々と挨拶をしたり、道を譲ると「おおきに~、お兄さんも気をつけてね~」と朗らかな関西弁で話しかけられます。関西だ、ここは関西だ!!と強く感動を覚えます、でも飴玉は出てこないのね。
シャクナゲ平から上部は倒木などにより景観がいい場所になっており。道中の木々を眺めていても被写体になりそうなものがゴロゴロ転がっていました。
ブナが増えてきたと同時にバイケイソウが出現し始めました。この登山の予行練習で歩いた大持山小持山武甲山みたいな景色だ。
笹の中に生えるバイケイソウ……はッ!!確かに笹が多い!!!!気が付きませんでした、それまでと違いいつの間にか足元を覆っているのはカラマツなどの落ち葉ではなく笹になっていたということに!!
日出ヶ岳までのラストスパートは急な階段が続くスパルタン登り。同タイミングで登っていた方となぜか熾烈なチェイスを繰り広げることになりました。
笹と枯れ木、そして倒木の景色が広がってきたら山頂はすぐそこに。
日出ヶ岳、大台ヶ原最高峰は紀伊の展望台。
午前11時25分、日出ヶ岳山頂。
日出ヶ岳にやってきました、紀伊半島の大台ヶ原最高地点に到着です。山頂はもう人、人、人、すごい数の人です。
山頂にたどり着くと途端に展望がきくようになりました、紀伊半島の山々がずらり。しかし、この辺の山なんてどれがどれだかさっぱりわからん……。たぶん目の前にあるのが大峰山脈かな??
事前に調べてはいたけど改めてみると感心します。そう、日本でも随一の豪雨地帯がこの大台ヶ原周辺なんですね、平均4,800㎜の降水量。そして台風シーズンは台風が大体直撃するというすさまじい山、そりゃ渓谷もきれいになるわ。
日出ヶ岳に到着しましたが、旅はまだ終わりではありません。むしろようやく半分に近づいたといえるくらい、大台ヶ原のフォトスポットである大蛇嵓を目指さなくてはなりません。
その前に一通り展望を確認します、あたりを見渡せば熊野の海が見えるとか霞でよくわからないけど、目の前の水平線は海なんだろう。
こちらは大杉谷方面、大杉谷からくると山頂の手前くらいがはげ山で。直前までは全然大台ヶ原の持つ笹山の雰囲気がなかったのが印象的でした。
こちらに見える長大な山脈、これこそが今回の旅の終着点「大峰山脈」
近畿最高峰八経ヶ岳は大峰山最高峰でもあります、大峰奥駈道という修験の道で山上ヶ岳から熊野大社まで、山脈を北から南へぶち抜く登山が代名詞です。
基本大峰奥駈道は5日ほどかかる登山になるので、今回はその一部しか歩きません。大普賢岳から八経ヶ岳まで、大峰奥駈道の魅力を少しでも感じれればと思います。
登山客で盛り上がる大台ヶ原の道の整備っぷりと言ったら「すごい」の一言です。穏やかな山々をつなぐ道がすべて整備されきってやがる……。
登山道の4割くらいが木道になっているんじゃないだろうか大台ヶ原。とにかく親切な作りです。
こんな緩やかで歩きやすい木道、登山がはかどってしまう。
そしてようやく求めていた大台ヶ原らしい景色が現れ始める。伊勢湾台風で大量倒木が発生し、苔ではなく笹が生い茂ることとなった大台ヶ原。この山頂一面に広がる倒木の景色こそが奇異な大台ヶ原の個性になっています。
そしてその中を一直線に突き抜ける木道、これが見たかった!!!
これが見たかった……
大台ヶ原の斜面、きれいに立ち枯れの木々のみ。これを見るとどれだけ伊勢湾台風がすごかったかという疑問がわきます。僕は伊勢湾台風を知らない世代ですけど、この山の木々が根こそぎ倒されてしまう。そんなレベルの台風想像がつきません。
大蛇嵓に向かうには笹の中の道を進みますが、アップダウンは緩やかなものでこれまでの大杉谷からの登りに比べれば平地を歩いているに等しいものです。観光客に混ざって大蛇嵓を目指します、そしてここで一つ嫌な予感がしてきました。
「大蛇嵓、混んでいるのではないか疑惑」です。
結構な登山者が僕と同じ方向を目指しているのですが駐車場に帰るのであれば逆側です。こちらに来るということは大蛇嵓に来る人が多いのでは!?という僕の予想はそのあと的中してしまうことになるのです。
大蛇嵓を目指して歩いていたら、子供たちが集まっているので何事かなと思えば
「たぬき」
がいました、アライグマみたいな顔した動物がいるなと思ったら野生のたぬき。さすが滋賀県が近いこともあるぜ、信楽焼が平然と歩いてやがる!HAHA!!
午後12時35分、神武天皇像前。
神武天皇の像までやってきました、この像結構大きくてですね。さらにこの辺は開けているので休憩スポットになっているのか、多くの人が休んでました。弓の上にいるのは三本の足を持つヤタガラスでしょうか?
伝承では神武東征で熊野の国から大和の国までの道案内をした神の使いです。
大蛇嵓に行く道に入ると、対岸に巨大な岸壁が現れます。
大蛇嵓がそもそも両側が崖の突き出た岬みたいな地形なんですけど。その右岸の向こうにはこの景色です。
「あら、登っている人がいるわよ!すごいわねー!」
という登山者の声を聴いて、「え?今日登ってる人いるの??」と思いよく見ると……確かに上部に登っている方がいました、ブッシュマンというコースであるということは知っていたのですが、まさか自分が歩いてる日に登ってる人を見れるなんて。
レンズを交換して撮影してみるとよくわかります。うーん、どうやってあんなところに張り付いているんだろう。
ブッシュマンを登る方に関心をしていたのですが、前を見るとご覧のあり様。大蛇嵓で写真を撮る方が渋滞をつくっており、大蛇嵓を見るには待たなくてはならない状態。しょうがないので、並んで待つことにしました。
大蛇嵓はこんな感じになっており、撮影者は手前の岩から下に立つ人を撮影する感じです。柵はあるんですけどひ弱だし、鎖が腰の高さもないくらいなので、ふざけると落ちます。
大蛇嵓からの景色は雄大で、日出ヶ岳から見る景色よりもずっと山深い景色が見れます。遠くに一筋の滝が見えますが、そこまでは平たんな山頂部が続くんですね。
近畿の山深い場所とは聞いてましたが、大台ヶ原から西側には町という町もなくただひたすら山が続くわけです、本当に秘境なんだなと思います。
大蛇嵓ですっかりと時間をつかってしまいました、バスの時間までぎりぎりなのでショートカットコースを利用してバスターミナルへ向かうことにしました。
さらば大台ヶ原、大峰山へ向け和佐又山を登る
樹林の道を駆け抜けてバスターミナルがあるビジターセンターへたどり着きました。長かった大台ヶ原の旅がようやく終わりを告げようとしている。そして、大峰山が始まるというのか。
こちらのお店でバッジを購入しました。
じゃじゃーん!登山バッジを入手しました、大台ヶ原です。図案は枯れ木と黄色いのは笹の大地かな?あとは鹿ですね、大台ヶ原の要素はこの三つで大体あってる。
午後2時20分、大台ヶ原バス停。
山頂でやることはすべてやったので、あとは和佐又山登山口に向かうバスに乗るだけです。大杉谷から歩いて大台ヶ原まで来ましたが、バスに乗れるのがなんだかとてもうれしいです。
午後3時25分、和佐又山登山口バス停。
バスに1時間ほど揺られて和佐又山の登山口に到着しました、バスに揺られて1時間って……。ちょっとビビるくらい時間がかかるけどしょうがない、大台ヶ原は秘境なんです。
和佐又山のバス停にはきれいなトイレがあります、こんな誰も使わなそうなところにきれいなトイレを設置してくれるとか、近畿の方は神か何かか?
この写真に写っている方々は聞いたところ全員「大杉谷から来た」でした。このコース、登山ブロガーが数人書いたことによって確実に実行する人数増えたやつでは?
しばらく歩くと渓流があったり、和佐又山の雰囲気は悪くなさそうですが目的地としてはキャンプ場で、そこまで行くのにただ歩くだけです。そう、いわば今日はもうゴールしてるんです、目的地は大台ヶ原なんです。だからこれ以上登るとか本来はおかしいんです。
そんなこと知るか!とっとと登れ!!と言わんばかりの傾斜が続きます。和佐又山ヒュッテまでの道の傾斜はなかなかのもので、これまでの疲れが蓄積した僕の足は容赦なく削れら悲鳴を上げる羽目になりました。
しかし、今回の登山では甘えは許されません。甘えるということはいざというときに歩けなくなるかもしれない、歩ける限りちゃんと登山道を歩く、登れる限り、巻き道は使わないがこのRedsugarの戒律です。
その戒律に従い、和佐又山へは沢コースを利用してむかいます。ちなみにほかの方は全員車道から歩いていき、この日沢コースを利用したのは僕だけでした。
沢コースに突入したら結構雰囲気のいい渓流沿いを歩くことになりました、ええやん。
誰か来るかしら?とかおもいましたが誰も来ません、寂しすぎるだろ、心細いよ!大杉谷でも大台ヶ原でもない、和佐又山というマイナーもマイナーな山の渓流沿いです。
このような渓流を渡ったりして進むのですが、ピンクテープやペンキがないのでどこが道かというのをちゃんと探して歩く能力がないと厳しいものがあります。
ロケーションと雰囲気は抜群なんですけど、午後4時に近いこの時間帯。刻々と日没が迫っており非常に焦るわけです、ヒュッテでコースタイム1時間。日没ゲームセットだけは全力で勘弁していただきたい。
渓流を越えてヒュッテへ、体はそして限界へ。
そんな中現れてしまいました、美しい渓流が。写真撮ってる場合じゃないけどこれは撮らなくてはならない、本能がそう言っている。そんな渓流が現れてしまったのです。
引いてよし、近づいてよし、ロックガーデンとかにこういうのあればいいのになー。
20分ほど渓流を撮影するのに夢中になってしまいました。和佐又山はそこまで標高が高い山ではないのですが、水資源は豊富なようですね。紀伊半島は水の半島、山の標高が低くても水はたくさんあふれ出てくるということか。
さて、思ったよりも時間を使ってしまいました、山頂への登りを再開です。太陽がゆっくりと沈んで行ってしまうので、焦りが半端なくなってきました。でも体は動かないんだなこれが!
マジで疲れているので身体が前に進みません、一歩一歩牛歩で進みます。後半はつづら折りで標高を上げていきますが、これがマジでつらい。大台ヶ原ですでに今日の試合は終了している気持ちな上に、補給がお弁当とモナカ。
ガス欠も引き起こされて行動食を食べつつもなかなか速度が上がりません。そうこうしているうちに日が傾いてきました、やっべぇ。
午後4時55分、和佐又山ヒュッテ前林道。
ようやく登山道から這い出てこれましたが、バス停から1時間30分近く時間がたっていました。
この場所を縦走用装備で歩くと1時間じゃすまないので、皆さんにはそれを知っておいてもらいたい、大杉谷から大峰山に行くために和佐又山ヒュッテに行くときはくれぐれも車道を使うようにしましょう。
和佐又山ヒュッテですが、これまでどこにいたんだというくらい車が……。
何、なんなの?大人気コンテンツなの?キャンパーだらけじゃん。
BBQというリアルが充実している方々が行う白魔術の儀式により舞い上がった食欲を刺激する煙のおかげで激しくめまいがしそう、リアルが充実している人種とは相容れない性質を持っている私は暗い面持ちのまま和佐又山ヒュッテへ入ります。
ヒュッテで宿泊費をお支払いすると寝所に通されました。三段ベッドがある大部屋ですが、使えるベッドは二段まで。今回の登山ですが、すべて小屋を利用するので毎回布団で寝れます、最高か、最高だ。
さっそく寝床を作ったらお風呂へ入りに行きました。そう、この和佐又山ヒュッテはお風呂付の素晴らしいお宿なんです。この大杉谷→大台ヶ原→大峰山の登山のいいところは前半は毎日風呂にはいれるところ。縦走で気になる汗の問題でいうとかなり快適な縦走なんです。
風呂上りはビールでしょ、ということで480円の缶ビールを購入。そして使わな過ぎてザックの中で重しと化していた行動食を二つほど消費し気持ちよくほろ酔いになることが可能となりました、疲れてるとすぐに酔いが回ります。
ついにやってきた夕食、この和佐又山ヒュッテを使う上で決めたのはこの夕食にあり。というのも事前の調査で和佐又山ヒュッテの夕食がかなり豪華ということを聞いており風呂に入れて夕食も非常に豪華なので泊まって後悔はないだろうと判断していました。
現れた夕食は期待通りそのもの、旬の山菜がふんだんに使われた超豪華な夕食。山小屋なのにこんなにおいしいご飯を食べれるなんて、と感動してしまいました。夕食を食べた後は、すでに日も暮れていたということもあり速やかに就寝、疲れていたんでしょうね……、いつ寝たのか記憶がありません。
そして、舞台は翌日の大普賢岳~弥山の大峰山八経ヶ岳編へと続くのでした。
コメント
コメント一覧 (4件)
こんにちは。大杉谷の登山口で声を掛けさせてもらった者です。
あの時の大杉谷は天気に恵まれて最高の景色でしたね!念願の大杉谷、キラキラの渓谷美を堪能できて、本当にラッキーでした。
我々は大台ケ原に抜けずに、七ツ釜滝から、来た道をのんびり戻りましたが、復路は午前中のさわやかな光で、また違った風景のようで2度楽しめましたよ。
でも、大台ケ原への道もやはり素晴らしいのですね。いつか歩かねば!
この後の大峰山までのレポートも楽しみにしています。
まきお様
その節はお声がけいただきありがとうございました、とても嬉しかったです。
午前の景色良いですね、猪ヶ淵も午前だと絶対に景色がいいんだろうなと思っていたのでとても羨ましいです!
大台ケ原までは堂倉滝が素晴らしく、その先は比較的よくある道ではあるのですが、途中途中のポイントがとても楽しいところになっています。
大台ケ原から下りで入ってきてもここは楽しいかもしれませんね。
Blogの内容を拝見させて、おそらく初日の道中に、「D750とD850の2台持ちですか?」とお声かけさせていただいたものです。(ほか女子2人と一緒に歩いていたおっさんです)。まさかのD8502台持ち+単焦点レンズとは、、、しかも描き出す写真、、誠に素晴らしいものですね。2日目は桃の木小屋でのんびり朝食食べてからの出発だったので、我々は大台で1泊でした。このBlogの写真を見て、また大杉谷に行きたくなりました。次回再訪が叶えば、今回X-T1で撮った景色を、D750で切り取りたいと思います。
でも次は大台ヶ原から粟谷小屋に下りてきて1泊かなぁ・・・。
KAZ様
お声がけしていただきありがとうございます、そうなんですD850を二台なんです……。
今はもうズームレンズになってるんですけど、この時は機械的な最高性能を求めてその組み合わせでした。
大杉谷は本当に素敵なところでした、僕もまた行きたくてたまりません。
粟谷小屋にも泊まりたいです……。