2017年5月1日、大分県の九重山(久住山)に行ってきました、標高は1786m。
久住山は九重連山と呼ばれる山岳地帯一体を形成するいくつもの火山が集まった山塊です。
周辺の中岳、三俣山と合わせて久住山系という山塊を形成しています。
ややこしいのですが九重連山の中に久住山と呼ばれる山があり、ここが百名山的には久住山。
九重連山には大きく分けて二つの山塊があり、久住山のある久住山系とミヤマキリシマで有名な大船山系があります。
九重連山には多くの1,700m級の山々が林立し九州の天井と呼ばれています。
今回は最もメジャーな牧ノ戸峠から入山し、久住山→中岳→星生山と山々を巡って周回で帰ってくるルートを歩きます。
広大な九州の自然を感じる、火山と青空の九重連山の旅の始まりです。
久住山は南北10キロ、東西13キロの広さを誇る火山帯で、GWともなれば多くの登山客が訪れる人気の登山エリアとなります。
6月のミヤマキリシマの時期に歩けばピンク色に染まった山肌を見ることができたり、冬に歩けば霧氷が見れたりするようで一年を通して楽しめるハイキングスポットです。
今回は久住山の最も中心のエリアとなる久住山山塊、九州本土最高峰となる中岳、そして噴煙を上げる硫黄岳をよく見ることができる星生山を歩きます。
久住山牧ノ戸峠コースは鳥海山などに似ており、スタート地点から稜線に近い場所を歩き続けるため日を遮る場所がありません。
なので、紫外線対策はしっかりと行ってから登山に向かうようにしましょう。
久住山周辺は温泉スポットにも恵まれており、黒川温泉や筋湯温泉と言った文句なしの温泉街が車で30分程のエリアにゴロゴロしています。下山後の温泉も楽しみになるエリアです。
久住山を存分に楽しむのであれば、山だけではなく周辺の温泉宿に宿泊し、自然の恩恵も楽しみたいところです。
久住山について
他の日の記事はこちら
筋湯温泉から牧ノ戸峠へ
2017年5月1日、午前6時10分、筋湯温泉。
早朝宿から共同温泉へ朝風呂を楽しみに来ました、筋湯温泉といえば「打たせ湯」らしい。
鳥海山などでも早朝から風呂に入りましたが、遠征時に朝から風呂は定番にしたいところです。
筋湯温泉の入浴料金は300円、今回は一番メジャーな「うたせ湯」に入ります。
風呂の中は撮影できませんでしたが、ちょっと温めの大浴場と、何本ものうたせ湯があるのが特徴です、風情がすごいある温泉でした。
浴場の前には九重の名水と書かれた湧き水が、あんまり冷えてはいませんけども、美味しい軟水でした。
入浴後筋湯温泉の薬師堂にお参り、今日の登山の成功を祈願して宿に戻ります。
朝の宿、明るい中でようやく宿の全景を見ることができましたが、すごい風情のある宿でした。
お庭の雰囲気よし、風呂の温度や居心地もよくかなりくつろぐことができました。
最高の夕食を提供してくれた筋湯温泉小松別荘ですが、朝ごはんも最高のご飯でした。
あまりに美味しすぎて今日山登らなくてもええんちゃう??
と思うくらいのボリュームを食べてしまいました、久住山に行くならおすすめです。
500円でお弁当を作ってもらいましたが、これもすごいボリューム。
そしてめちゃくちゃ美味しいお弁当です、筋湯温泉では登山者向けにお弁当を作ってくれるのはスタンダードなサービスのようなので、宿泊の際はぜひ利用したい。
午前8時50分、牧ノ戸峠登山口。
九州では大人気登山コンテンツである久住山、GWのこの時期は駐車場に車を止めることはできないかと思ったのですが、無事駐車できました。
でも僕らよりあとに来た人は路駐だったので、出来れば朝9時よりは前には訪れたいところ。
登山口のレストハウスで準備をします、ここで登山バッチを買い忘れたのが痛いところだ。
筋湯温泉からは県道を利用することにより牧ノ戸峠登山口には10分ほどでアクセスが可能です。
久住山登山、展望の良い稜線へ
午前9時5分、牧ノ戸峠登山口。
最もスタンダードな牧ノ戸峠登山口から登山開始です、九州登山プレイボール。
最初はよく整備されたコンクリートロードを歩きます、登山口周辺はようやく新緑の芽吹きといったところで、上まで登ってしまうとまだ冬山のようだ。
最初は樹林帯です、でも本当に最初だけね。
新緑、少し早い時期でしたがかわいい子供の葉っぱがどんどん育っていく。
見晴台まで登れば樹林は終わりです。ここから先は開けた道を歩くことに、雰囲気としては鳥海山が一番似ているなと思いました。
ここで多くの人が休憩をしながら景色を楽しんでいました、この位置からは由布岳の姿を捉えることができます。
由布院の街を見下ろすようにそびえたつ由布岳ですが阿蘇くじゅう連山国立公園の一部となっています。
奥さんと一緒に久住山へ向かいます、天気も無事青空で文句なしです。
これは三俣山ですね、九重連山の中でもかなり目立つ山でどこからでも視界に入ってきます。
多くの登山客が歩いている久住山、場所によっては登山渋滞が発生します。
九州と言えば阿蘇、視界の彼方に阿蘇山が見えます。
熊本地震の影響で今は登山道が幾つか使えなくなってしまっており、登ることができません。
百名山の中にはこうして登れなくなる火山もたくさんあるので、登れるうちに登れる場所には行きたいですね、山は普通に逃げていくものです。
阿蘇だけが結構はっきり見えるが霞のせいでこれが限界、神レンズである58mm先生の遠景解像力が全然活かされないな。
阿蘇山も本体とそれ以外の山で構成されているようですね。
かぼすドリンクで喉を潤します、大分県はかぼす天国でした。
普通に美味しいのでそこらへんでも売ってほしいなこれ。
久住山まで稜線を歩き続けます、このスタートから稜線を歩き続ける感じが本当に鳥海山っぽい。
岩が多いのでペイントが至る所に、おかげで迷うことはないけども。
階段なども整備されており非常に歩きやすい、人気の登山スポットであることがよくわかる。
馬酔木が満開でした、稜線の上は馬酔木の香りで充満しております。
鼻をつく感じの匂いであんまり好きじゃないけども、見た目はきれいです。
稜線はなだらかで平行移動が長い、公園みたいな優しい道がところどころに現れます。
午前10時20分、星生山分岐。
最初に現れる山は星生山という山になります、ここを上り久住山へ縦走するのがよいのですが、今回天気が心配なのでスルーして先に久住山と中岳に向かいます。
星生山は帰り道に余裕があれば登ることに、足に自信のある方は行きで歩いたほうがいいです、小屋側から登ると結構難しい山なので。
久住山の景色が見えてきました、あれが九重連山の中の久住山です、ややこしいわ。
低木の中を突っ切って行く、これは全部ツツジなんだろうか?
枯れてる木々に気をかける余裕はさすがにない。
なかなかに立派ではあるのですが、周りに似たような山が連続しているため威厳はあまりない。
連山全体が評価されている山なので、しょうがないかな。
小屋との位置関係はこんな感じです、小屋からは片道30分くらいってところですかね。
久住山避難小屋です、トイレ付き。
この辺一帯が整地されているのでテントがすごい数張れそう。正式名称は「久住別れ避難小屋」らしい。
少しずつ空が霞んできました、阿蘇山は相変わらずぼんやりとしている。
久住山へ登る際は稜線からずっと阿蘇山が見えているので、阿蘇山に登りたくてたまらない。
避難小屋はこんな感じの室内で廃墟かここはと思うような雰囲気、床が汚いんだよねここ。
トイレも圧巻の瘴気をまとっていたので近寄りませんでした、限界ギリギリの時が来ても使わないかもしれません、携帯用トイレを潔く使用するかな……。
もしかしたら意外にきれいだったのかもしれない、今度行くときは見てみよう。
避難小屋そばの岩場で休憩しながら久住山を見つめる、ツアーや団体客が後ろからどんどんやってきます。
避難小屋の裏手は噴気が上がっている硫黄山と北千里浜という窪地が見えます、奥の山は三俣山です。
三俣山方面に行けばタデ湿原に降りることができるということか、バスで行くのであれば牧ノ戸峠登山口から長者原にいく周回が楽しそうですね。でも、できれば法華院温泉で一泊したいところです。
久住山山頂からの大展望
避難小屋から先はガレ場ザレ場ですね、浮石がたくさんあるのであるきにくいです。
火星ウォーキングの気分で山頂を目指します。
北千里方面から吹き上げる風が直撃するので、ここから一気に寒くなります、避難小屋から先は気温が数℃下がる感じがあった。
看板が落ちて何がなんやら…。
旭岳みたいな景色だが傾斜はこちらのほうがゆるい、登るのは楽ちんである。
稜線にたどり着けば山頂はすぐそこ。
奥の三俣山、画面右側は最高標高地点の中岳である。
これまたややこしいのですが九州本土の最高標高地点は中岳となります。九州全体では宮之浦岳、九州本土は中岳と覚えましょう。
九重連山の規模はかなり大きい、九州って結構広いなっていう気持ちが嫌でも湧き上がる景色です。
大雪山に比肩するスケール感を味わうことができます。
極めつけはこの阿蘇山側の景色です、地平線が見える……。
九州の広大な自然を目の当たりにし、熊本ののどかな景色と中心に位置する阿蘇山に畏敬の念を抱く。
これがまるまる火山でできた地形って凄い、リアルで見てこその感動でしょう。
寄り道を食ってしまいましたが山頂へ、登山客がたくさんですごく賑やかな感じです。
午前11時30分、久住山山頂到着。
九重連山の中の久住山に到着です、久住山だけ登るならかなり楽だなという感想。
なだらかな稜線歩きが多いため体力の消費も非常に少ない山でした。
続けて中岳へ向かうために記念撮影を済ませたら久住山を後にします、この稜線歩きはすごく楽しくて、牛歩で道を戻りました。
山頂周辺は本当に風が強い、吹上てくる風が直撃するのでウインドブレーカーは一枚持っていたほうがいいです。
奥さんは元気そうですがそのままそっちに行くと悲しいくらいの登り返しがあるよ。
噴火口の外輪に沿って歩いていきます。
これは火口だと思う、この脇を通って御池に向かいます。
九州本土最高峰中岳へ
午後12時15分、御池到着。
中岳手前にある火口湖です、非常に透き通った水が蓄えられた美しい湖です。
静かな休憩スポットでもあるのでこちらで食事を食べても良いかなと思います。
表示に従うと湖畔を歩くことになります。
一箇所湖に突き出した岩があり、そこで休憩したりするのは気持ちが良さそうでした、ちょうど写真で人がいるあたりです。
反対側に回り込んで休憩、湧き水なのか天水なのかはわかりませんが、
水が非常にきれいな色をしているのは間違いない。
湖を離れたと同時に。犬を連れたイケメンのお兄さんが犬を遊ばせ始めました、九州訛の力強い喋りで犬に話しかける姿は男の僕でも惚れた。
さて、ワンちゃんに癒やされたのもつかの間、中岳への登山再開です。小屋分岐を無視してまっすぐ突き進めば山頂です。
表示の先のピークが山頂となります、結構急で登るのに一苦労でした。
午後12時40分、中岳山頂到着、標高1,791m。
九州本土最高峰中岳に到着しました、九州本土で一番高いというのになんだか地味な名前だな……。
山頂からの景色はなかなか、九重連山のキャンプエリアとなる法華院温泉がよく見えます。
九重連山を楽しみ尽くすのであれば、ミヤマキリシマの時期に温泉を利用し1泊2日で大船山と久住山を練り歩くのがいいんでしょうね。
大船山方面、ミヤマキリシマが沢開花するという平治岳、久住山からは少し離れており、一日で歩くのは無理かなと思います。
御池を背景にダッフィー、九州に来たんだぜ…ダッフィー。
なかなか来れるものではない場所にようやく来ることができました、しかし九州にはまだまだ行きたいところがあるので困ったものです。祖母山、傾山、阿蘇山、韓国岳、高千穂峰、開聞岳、雲仙と全て歩くのはいつになることやら……。
三俣山は本当に目立ちます、独立峰気味に鎮座しているのでどこから見てもひと目でわかる。
中岳からは三俣山が強制的に背景入りするようになります。
上るべき岩がたくさんあるので写真を撮ってばかりでなかなか進みません。
中岳を後にし、下山開始です。空はまだ晴れていてくれて、気持ちの良い山頂でした。
小屋が気になったのでちょっと見てみましょう。
避難小屋って感じの避難小屋ですね……、闇の世界がポッカリ口を開けているではないか。
中はこんな感じ、比較的綺麗でしたがめちゃくちゃ暗いので注意です。
下山再開、下山時に速度が上がる奥さんを追いかけて僕も下ります。
気がついた人もいるかもしれませんが、奥さんは空身です、今日は僕が二人分の食料と水を所持しています、重い。
午後1時20分、御池。
流石に腹が空いたので御池で休憩です、湖に突き出した岩場でご飯を食べることにします。
旅館の女将が作ってくれた弁当は本当に美味しかった……。久住山に来るなら筋湯温泉に泊まって弁当サービスをしっかりと受けるべきですね。
食後下山を再開しひたすら火星のような山肌を降りていきます、帰りは硫黄岳方面がよく見えるぜ。
星生山登山スタート
帰りは星生山を経由することにしましたが、これがかなりきつかった!
久住山避難小屋から星生山の上りは厳しい岩の上りが続くのでおすすめしません。
装具削りの岩場がここから続きます、写真取る暇がなかなかない。
星生山側からは硫黄岳方面がよく見えます、火山っぽい景色を拝むのであればこちら側の展望ですね。
星生山への道のりは結構長い、しかも地味に登り続けるというのも嫌なところです、体力を使い果たしている状態の足には応えるぜ。
火山性の表面がざらついた岩場が続きます、四肢を利用して登らなくてはいけないので大変、カメラを一台しまいたくなってくる。
岩場をこえると一旦平坦な登り道へ、ここで息を整える。
空身奥さんは早い、岩場もスイスイくぐり抜けていってしまう。
山頂直下はご覧のような感じ、地味に岩が多く浮石も非常に沢山あり手が抜けません。
午後2時35分、星生山到着。
本日最後のピーク星生山です、麓で販売している星生水はここのことを言っているんだろう、星のアクセサリとか持ってきて写真撮影すればいいダジャレになるんじゃないか。
星生山からの眺めが一番火山っぽい。
牧ノ戸峠に近い前衛の山なので、奥に連なった山々等がかっこよく見えるスポットでした。
星生山からの下山開始です、下りは結構急でした、角度のきつい坂道を降りるとは予想外。
元来た道に復帰すればあとはもう帰るだけです、大変なスポットは存在しないので安心して歩こう。
日も傾き始めて雲が少しだけ出てきました、今日一日天気が持ってくれて本当にありがたかったです。
ここまで来れば下山も同然、下山後のコーラのことしか頭にないぜ。
午後3時40分、久住山下山完了。
牧ノ戸峠に帰ってくる頃には車がほとんどはけていました。
今日はゆっくり歩いたのですが、心地の良い疲労感が全身を包み込んでくれます。
「コーラ……じゃなくてブルーベリージュースください」
登山語の疲れ切った頭のせいでしょうか、気がついたらブルーベリージュースを頼んでいた。
もちろん速攻飲み切ってしまったので追加でドリンクをオーダーしました。
「コーラ……、かぼすジュースください」
恐るべし大分のかぼす、下山後に炭酸を飲むことなくこの日は終わりました、かぼすジュース本当に美味しいから東京でも売ってほしい。
下山後は黒川温泉へ
午後4時25分、黒川温泉。
今回、下山後の温泉として選んだのは黒川温泉、牧ノ戸峠から車で少し走った所にある温泉郷です、温泉手形なるものを発行しており、「街全体が一つの宿 通りは廊下 旅館は客室」を合言葉に街づくりを徹底的に見直し人気の宿になった温泉街です。
温泉街の雰囲気が落ち着いていて、大人になったら旅したい温泉宿って感じでした。
入浴システム的には案内所で手形を買うか、各宿で500円を払うかのどちらかになります。
今回は温泉宿を回るつもりはないので、宿で500円を払うことにします。
山の上は冬ですが、麓は新緑。
黒川温泉も新緑が非常にきれいな時期になっていました。
一応公衆浴場もあるみたいですね、混浴らしいので女性の方は注意が必要か。
黒川温泉はシャワーがあるところと無いところがあるので、下山後体を流したいのであればシャワーと洗い場のある温泉へ行きましょう。
今回は単純温泉系のお湯が湧いている「わかば」さんに行くことにしました。
めちゃくちゃ風呂の雰囲気が良い……。
昼間の風呂を貸し切りで使えるなんて驚きでした、最高の温泉であったことは間違いがない。
洗い場も完備で久住山登山後にはかなりおすすめできる温泉でした。このレベルの温泉が500円程度で入れるなんて驚愕です、さすが日本一の温泉県。
入浴後に無料で作れるかき氷のサービスがあるのもいいところです。
手作りかき氷の甘さが脳天を刺激する。
黒川温泉は非常に風情のある佇まいを残した温泉地で、是非とも泊まりで訪れてみたいなぁと思わせてくれるような場所でした。久住山周辺は温泉宿が豊富なので、ぜひとも温泉宿を利用した登山をお勧めします。
黒川温泉をあとにした僕らは一路湯布院へ、本日の宿へ向かい3日目からの観光に備えるのです。
由布院では地鶏の焼き物を晩御飯にいただきましたが、これがめちゃくちゃうまい。
大分の料理って味付けも良くてハズレなしだなと息巻くような感じになっていました。
ジュージュー音を立ててやってきた地鶏焼き、最高でした。
湯布院の罠は、温泉街であることから「みんな宿でご飯を食べる性質上外食が流行っていない」のです。
午後8時を越えるとお店でご飯を食べるのはかなり難易度が上がるので注意しましょう。
最後はホテル前の地元の居酒屋で焼酎を頂き終了。
久住山登山を楽しみ尽くし、温泉や食も楽しんだ大満足な一日を過ごすことができたのでした。
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