2017年10月7日、沖縄県は名護市にある嘉津宇岳に行って来ました、標高は452m。
低い山でありながら展望がよく、名護の海を見渡すことができるため、沖縄の登山ではお勧めされる山です。
10月は奥さんの用事があって沖縄に行く機会に恵まれました。
沖縄といえば海!海に入らないと沖縄に来たとは言えない!
という旅行雑誌などの言葉がまったく刺さらず、「沖縄って千葉よりも標高が高い」だからそれなりにいい山があるはずだから沖縄の山も登ってみようということで沖縄の山に行くこととなりました。
沖縄本島最高峰は与那覇岳となりますが展望が無いため、今回は展望に優れた嘉津宇岳に登ります。
そこで待ち受けていたのは南国の圧倒的密林。
本州にはない南の植物が踊る熱帯の森でした。
シダが生い茂る深い森と沖縄の青い海を見つめる、嘉津宇岳登山の始まりです。
嘉津宇岳登山に関して
青い海の沖縄で登山という地獄
2017年10月7日午前9時25分、恩納村。
奥さんの用事で一緒に沖縄に来た僕は沖縄二日目にしてへばっていました。
原因は気温……、10月だというのに関東地方の猛暑日に匹敵する32度&湿度100%という地獄のような大気が体を包み込んでいました。
青い海はきれいです、きれいですがここは暑すぎます……。
この日奥さんは用事があるため僕は単独行動、と言う事で嘉津宇岳に向かうことにしました。
2017年10月7日午前10時50分、嘉津宇岳登山口。
恩納村から1時間ほどで嘉津宇岳登山口に到着、嘉津宇岳駐車場はそれなりの広さ。
展望台が併設されており、夜は星空鑑賞のために使われているみたいです。
トイレはあるけど、南国のトイレです、お察しください。
「めちゃくちゃ暑い!!!なんだこの暑さはっ!北海道帰りてぇ!」
レンタカーを出るとむわっとした空気があたりを包み込みます、写真だとむせ返るような暑さが感じ取れない。
流石にいつもの装備だと脱水しそうなんで、半袖装備で歩くことにします……。
午前11時5分、嘉津宇岳登山開始。
スタートの景色がすでに違う、緑の濃い森の中を進みます。
歩いてみて気がついたのは結構観光客がいるということ、ツアーなのかわからないけども団体さんが歩いていました。
森の中は虫や獣の鳴き声がすごい、沖縄のセミは鳥みたいな声を出すみたいです。
森の中は風の動きがなくむわっとした空気が沈殿する、生命力旺盛な木々が生い茂る森をゆっくり登ります。
伊豆のバナナワニ園で見るような熱帯植物が自然に生えてる、真夏の昼の悪夢だよこれ……。
里芋科の植物みたいなのがたくさん生えてます、畑で見るならまだしも、山で見るととてもキモいです。
沖縄の強い日差しが木漏れ日となって降り注ぐ。
どうやらこれはクワズイモという里芋の仲間のようです、もちろん有毒です。
毛深いシダが登山者を歓迎してくれます、一回見たら満足する景色。
道中のマーキングは嘉津宇岳までしっかりとしています、その先はかなり薄い。
歩いて直ぐに展望が開けます、湿度が高くひっきりなしに雲が流れてゆく沖縄の空。
沖縄の山道は石が特徴的で歩きにくい、秩父二子山の道に似ている。
というのもカルスト地形であるため石が石灰質なのだ、そのため尖っているところとかが多いし滑るところは滑りやすくなっている。
カルスト地形とは石灰岩などの水に溶解しやすい岩石で構成された大地、とりあえず石灰岩が多いということで覚えておけば良いです。
午前11時30分、嘉津宇山頂到着。
嘉津宇岳から見えるのは名護の街の姿、そして青い海と……白い空。
沖縄にいる間基本的にはずっと晴れてはいたのですが……。
沖縄って天気がコロコロ変わるため朝晴れててもすぐに雲が出てくるんですよね。
雲は出てきても太陽の光はちゃんと降りてきているため景色はきれいです。
海がきれいだ、やはり沖縄といえば海か……。
海の方は本当にきれいです、あと目の前に広がるのが名護の町だと思うのですがけっこう小さいんですね、名護市。
海の方はきれいなブルーです、オホーツク海と太平洋で育った僕にはまぶしすぎる。
海って黒くて怖いものだと思ってたし。
随分ときれいな形の湾です。
山頂に建てられた鉄棒には米兵の方が書いたと思われるサインが沖縄感を盛り立てる。
古巣岳を目指してジャングルウォーク
嘉津宇岳の山頂からは八重岳のレーダーが見えます、嘉津宇岳周回登山を行う場合あのレーダーを目指して山頂の岩場を歩き抜けていく必要があります。
この山頂ですが、カルスト地形特有の石灰岩が露出した嫌な山頂です。歩きにくいし石の質感的に装具は削られまくるし、基本いいことがありません。
登山道への降下地点がこれです、どうしようめまいがしてきた……。
沖縄の登山は嘉津宇岳山頂から先がスタートでした、ここまでは序章に過ぎない。
クソみたいに荒れた登山道の中に建てられた看板、嘉津宇岳からは古巣岳を目指します。
道なんてないと言わんばかりの光景が広がる、沖縄なのでどこにハブがいるかもわかんないし。
これは登山じゃなくて冒険とか探検とかその類なんじゃないか、という道が続く。
一応ピンクテープはあるんだけども道はあってないようなもの。
父さん、母さん、僕は今沖縄の熱帯雨林で戦っています……。
嘉津宇岳から少し下って、密林を抜けるとまた展望が開けます。展望はいいけどここは古巣岳ではありません。ずーっとこの展望が続く山なら歓迎なんだけど、実際は8割密林です。
あまりの暑さに半袖ですが、虫とかたくさんいるのでオススメできません。
景色だけはきれいだ、景色だけは。
圧倒的密林が周囲を取り囲む、青々としたジャングル的景色はここでなくては味わえないだろう。オーストラリアのキュランダを思い出す光景です。
そりゃこんな山なんですもの、カタツムリもたくさんいます。
かなり巨大な殻なども散乱しており、最盛期はかなりの巨大生物がこの山を闊歩しているのがわかる。
岩場から再び樹林へ降りようとしたら蛇の抜け殻発見、これハブやろ。
なんというか縁起がいいのか悪いのかわかりません、ハブにだけは会いたくない。
下って樹林を歩いていると第一村人ならぬ第一登山者発見。
沖縄の方なのか、こなれた装備(長靴)でスイスイと歩いて行かれました。
午後12時25分、古巣岳山頂。
ハイカーとすれ違った直後、古巣岳に到着しました。
古巣岳山頂では地元の方がハイキングの休憩を楽しんでいました。沖縄にも登山者っているんですね……。
古巣岳からの景色はこんな感じです、嘉津宇岳からは少し標高が下がり、名護の町が身近に感じられるようになりました。
下山もきつい、探検とシークワーサー畑
山頂から再びジャングルチックな登山道へ、道がとにかく歩きにくい。
露出した石灰岩に足が引っかかりやすい上に、石が滑る。
山頂直下には古見台と呼ばれる展望所があります。
この展望所ですが、崖っぷちを歩くだけという大変簡素なものになっておりまったくもってお勧めできるところではございません。
まず入り口が狭いもん、しかも右側写ってないけど崖です。
展望とか見る余裕がない。
劣化したロープ、たわんでいるため力一杯握るとバランスを崩す危険性がある。こんなロープなんて握らないほうがマシです。
道があるけどすごく天井が近いし、何ですかこの殺意を秘めた突起。
殺意の突起に頭をぶつけて非常に痛い思いをしました、絶対に許さない。
ここを歩きます。
ヒューッ!
カルスト地形の断崖絶壁、下は100mくらい切れ落ちた崖。落ちた人とかいてもおかしくない地形です。
奥まで行っても何もありません、滑落のリスクだけが伴う展望台でした……。
古見台から降るとご覧のようなジャングルに戻ってきます、ていうか道どこだよ。
歩いていても道がわかりません、立ち止まってテープを探すという作業や振り返って登りの際はどう見えるか、を観察しながらルートを確かめて下ります。
午後1時15分、三角山、古巣岳分岐。
谷底まで下りてきました、今まで歩いた山の中でも一番谷底間強い景色だこれ……。
再び登り返せば三角山、でもそんな気はさらさらない。
嘉津宇岳→古巣岳周回縦走で満足です、これ以上森に長居すると湿度による不快指数によりSAN値が低下して発狂してしまいそうです。
クトゥルフみたいな植物に囲まれて気が滅入りそう。
足元にはカタツムリ、よくわからん甲虫、ちいさなムカデがたくさんいるし……。
こちらの巨大な里芋のようなのはクワズイモ、サトイモ科の植物ですがシュウ酸カルシウムの毒性が強く食べれないそうです。バケモノみたいな葉っぱとチューブワームのような茎が見た目の特徴です。
午後1時30分、シークワーサー畑に突入。
嘉津宇岳の厳しいジャングル地帯を抜けてシークワーサー畑に到着、ここまでくればもう煩わしい木々や昆虫に悩まされることもありません。シークワーサー畑を抜けて車道へ、スパルタジャングルからの解放。
古巣岳で下山すると嘉津宇岳駐車場から少し離れたところに出てしまいます。駐車場までは1時間くらいの車道歩きとなります。
車道を歩いているといろいろな野生植物を見ることができます、例えばバナナとか。
畑の脇にバナナってなんだよ。
バナナのこれって花ということですが、相変わらず気持ち悪い……。
映画のゴジラに出てくる怪獣、ビオランテの触手みたいですね。
シークワーサーは思っていたよりも小さい、すだちのようなコロンとした実がたくさん木々についています。
いたるところに生えてるパパイヤ、沖縄出身の同級生曰く「学校帰りになってるパパイヤとって帰ったりよくしていた」とのこと沖縄県民にとっては身近なんですね、パパイヤ。
北海道民の僕が姫リンゴかじって帰ったのと同じ感覚か。
午後1時40分、勝山農村交流センター前到着。
下山してから10分くらいしか歩いていないはずなんですけど、暑くて30分くらい歩いた気持ち。
暑さに耐えかねたのと、JA的な何かかなと思って入ってみました。
シークワーサージュースを販売する喫茶店でした。
沖縄という海がメインの島で、登山の格好をした汗だくの男がやってきて店員さんも不思議そうな顔をしていました。
自販機は割と普通、さんぴん茶はどこでも売ってますね。
ミネラルウォーターが鈴鹿山系の水でそれが大人気ってところがミソです。
嘉津宇岳の分岐まで戻ってきました、あと二キロ歩けばゴールです。
午後2時30分、嘉津宇岳駐車場。
30分ほど歩き続けて駐車場に戻ってきました。
いやー、この夏一番の過酷な山でした。(10月)
下山のタイミングで米軍所属と思われるソロハイカーがハイキングに向かったり白人ファミリーが展望台で遊んでたりしてて、国際的な雰囲気がとてもあった嘉津宇岳でした。
下山後は銭湯とサンセットを楽しむ
下山後の温泉ですが、沖縄県には温泉につかる文化が内地ほどなく、温泉がそもそも少ない!!
日帰り入浴施設を探したのですが、嘉津宇岳からはかなり離れたむら咲むらまでくることに。
ここは日帰り入浴が可能な温泉設備があり、沖縄的な観光地もあるのでオススメ。
入浴料金は大人600円です。
沸し湯の銭湯で、泉質は新潟県栃尾又温泉付近から産出される風化鉱物を使用しているそうです。
沖縄くんだりまで来て上信越かよ!
湯温はそこまで高い感じではなく、40度くらいのお湯なのでゆっくり浸かれます。
ここのいいところは入浴後の牛乳のおいしさ、このEM玉城牧場牛乳がめちゃくちゃクリーミー。
生クリームのような味のする牛乳は二本飲んでも満足できるものでした。
風呂を上がったらあたりの施設を楽しんでみます。
むら咲むらは自然体験施設が集まっている観光施設で、琉球王朝モチーフの建物があたり一面に広がります。
狛犬ならぬシーサーがいたるところに。
こういう建物の中にいろんな体験学習の設備が備わっています。
午後5時45分、残波岬。
奥さんと合流する前にサンセットを見に残波岬に来ました。
到着前にスコールに見舞われ、車を降りたら凄まじい湿気が体を襲います。
残波岬はこのような感じで岩場がずーっと広がった岬、灯台付近からはきれいなサンセットが望める。
空が雲に覆われているためサンセットを期待できないだろうということで断崖絶壁が広がる海岸線方面へ、真っ黒な岸壁が見渡す限り先まで広がる。
沖縄の荒波が打ち付ける残波岬、日本海のような雰囲気がありました。
この直後雨が再び降り出してきたため慌ててレンタカーへ、沖縄の天気は中々安定しませんね。
夜は奥さんとその友人と合流し飲み屋で夕食を食べることに。
沖縄の居酒屋の特徴は「だいたいどこも歌を歌ってる」ことでしょうか。
沖縄にいる間入った居酒屋ではもれなく島唄を聞くことができました。
ホテルに帰ってきた僕らは夜食を食べに那覇の街へ、ソーキそば的な麺をいただき1日のすべての工程が終了となりました。沖縄にいる間ソーキそばや肉そばなど食べましたが角煮が入ったとんこつうどんが沖縄麺という印象です、あっさりしてて美味しいけど。
僕的には一回食べればいいかなという印象だったかな。
ごめん僕はこの山全く相性が悪かった……。
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