2017年6月30日、ニコンから新しいf1.4レンズが発売されました。
AF-S NIKKOR 28mm f/1.4Eという名のそのレンズは広角ながら美しいボケ味と圧倒的解像度を持ち合わせる脅威のレンズ。価格も驚異的なこのレンズ、気になる方も多いかと思いますが、この度購入に至り夏山登山において十分に活躍してもらったので、その写りっぷりを見ていきたいと思います。
遠景が多めのレビューとなりますが、随時いい写真が取れたら更新していきますのでお付き合いいただけますと幸いです。
AF-S NIKKOR 28mm f/1.4Eのレンズレビュー、それではいってみましょう。
AF-S NIKKOR 28mm f/1.4Eのスペック
発売日 : 2017年6月30日
値段 : 19万円から24万円の間
最短撮影距離: 0.28m
フィルター経: 77mm
重量 : 645g
特徴: 圧倒的な描写力と自然なボケで28mmを極める大口径広角レンズ(公式)
主観における感想: 解像度に特に秀でたレンズだが、シグマのような目の痛い感じはない。
解像力の高さに対してボケがきれいで画面全体の調和が取れやすいレンズ。
重量は比較的重め、D750/D810双方装着状態でおよそ1.5キロくらいです。
早速実写へ、28mm f/1.4での作例
広角だけどよくボケると言う24mm f/1.4のようなスペックの持ち主のこのレンズですが売り文句や各所のレビューを見る限り解像力に自信があるレンズのようです。
海外の評価サイトだと、Carl Zeiss Otus 1.4/28 ZF.2(実売60万円くらい)と同じくらいの性能であるという評価もあるようです。
価格差を見ると本当かよと突っ込みたくなりますが、比較対象としてOtusがあげられるほど性能の良いレンズということは間違いないということでしょう。
購入後、夏山はすべてこのレンズとD750を組み合わせて撮影を行いました。
広角レンズはチルトがないと不便なのでD810での使用はしていません、高画素機での撮影はそのうちD850買うのでその時したいと思います。
では早速遠景の描写から、山でとりあえずこのレンズとD750があれば下記のような写真が撮れるようです、という参考にはなりそうな写真を。
NIKON D750 f/7.1 ss400 iso100
浄土山から見た立山雄山、現像時に明瞭などはいじりましたがすごい量のディテールが残っていて驚き。
NIKON D750 f/6.3 ss400 iso100
浄土山直下の展望台から眺めた北アルプス南部、明瞭明瞭。
NIKON D750 f/9.0 ss400 iso100
室堂を写したこちらのショット、湯気がもくもく上がっている部分の岩のディテールとかよくのこってるなぁーと感心しました、こういうショットを撮った時24mmf1.8とかだとここまで綺麗には出なかったのでやっぱりf1.4レンズってすごいなと思います。
NIKON D750 f/8.0 ss400 iso100
雄山側から浄土山、すべて三脚を利用せずに撮影をしています。
解像力にこだわりはないのですが、単焦点に目が慣れていると甘めのレンズを見た時に、なんか気持ちよくないなという感覚に襲われてしまいがちです。
NIKON D750 f/7.1 ss400 iso100
別山から見る剱岳、剱岳のトゲトゲしい岩肌も鮮明に写してくれる。
NIKON D750 f/5.0 ss500 iso100
剣御前から剣山荘へ歩く悪路から撮影した剱岳、この道マジでファックでした。
疲労が限界で手ぶれがひどかったのでssをあげて対処しています、剱岳かっけぇ……。
NIKON D750 f/5.0 ss400 iso100
西日を浴びる剱岳、注目すべきは剣山荘周辺の草木の粒感か。
画面端も結構解像していて気持ちがいいとおもうのですが、いかがでしょうか?
NIKON D750 f/13.0 ss400 iso100
逆光です、逆光耐性に関しては後ほどもサンプルをあげますが
NIKKORのf/1.4レンズとしては普通、といった印象を受けています。
普通に太陽撮影しても綺麗に写ります、角度によってはもちろんフレアが入りますけどね。
NIKON D750 f/6.3 ss500 iso100
鷲羽岳から見る水晶岳です、持ち前の解像度の高さに初めてハッとさせられた瞬間。
NIKON D750 f/6.3 ss400 iso100
水晶岳から鷲羽岳方面を望む。
NIKON D750 f/5.6 ss400 iso125
三俣蓮華岳山頂からのショット。
NIKON D750 f/6.3 ss500 iso100
ワリモ岳への登りです、何気なく歩きながら撮影してもカリカリに写るって素晴らしい。
地面は白い砂が敷き詰められており、地面のディテールはとりわけ豊かです。
現像時に細かい砂の質感がしっかり出ているだけでとても嬉しくなります。
NIKON D750 f/6.3 ss400 iso100
草津白根山の次に訪れた田代山。
この時は28mmってやっぱり使いづらいなと感じており、構図を考えていろいろ撮影。
20mmや24mmと違って広くなんでも写す感じではなく、主題をちゃんと意識しないといけない画角だなと感じてます。
ボケって綺麗なの?開放とかを見てみよう
f値が1.4と明るいレンズですが、遠景の際は絞ることが多いのです、でも近接や比較的近い距離の時はf1.4からf2.8くらいで撮影したかったりしますよね。
そういった際にきになるのはボケの綺麗さなのかなと思います。
解像力に偏ったレンズの場合、ボケ具合などが硬かったり、ボケが汚いことが多いですが、この28mmはどうなんでしょうか、広角ながら滑らかなボケということで期待が膨らみます。
山歩きで使用している関係上花が多いのですが、ボケ具合を見てみました。
ちなみに解放だったり絞ってたり、まちまちです。
NIKON D750 f/5.0 ss1000 iso100
田代山での一コマ、ニッコウキスゲを相手に結構接近して撮影してます。
この時は開放で撮影するには太陽光がかなり強かったため少し絞り気味で撮影、f/5.0の割には背景が気にならない感じにボケてるとおもうのですが、どうですかね。
個人的にはボケがうるさいという評価ではないのですが。
NIKON D750 f/4.0 ss1250 iso100
近接して撮影、これはちょっと背景がうるさいかも、ボケも背景もうるさいかも、あんまりよくないですねこれ。
NIKON D750 f/1.4 ss4000 iso100
草津白根山がこのレンズのデビューとなりました、夏山の始まりを告げたこの山で、夏山のためのレンズとして封を切った28mm。
コマクサ相手にf/1.4の開放を試してみました、案の定背景が全くわかりません。
よくボケるねと思う反面ピント面がすごいしっかり映ってて驚きました。
NIKON D750 f/3.2 ss1250 iso100
このショットだとすこし背景がうるさいなーと感じますが、色のせいか??
NIKON D750 f/2.8 ss1600 iso160
ワタスゲ、この写真だと後ろは華麗にボケてていいなと思いました。
背景が暗いところに明るいものが浮いている構図なんで大体のレンズで綺麗に撮れるものだとは思います。
広角でよくボケる。
NIKON D750 f/4.0 ss320 iso200
被写体が浮き出る感じはとてもいいです。
歩いているときに人を写したりすると58mmみたいな立体感が出てとてもいいなと思いました。
逆光耐性を見てみる
逆光に強いと言われているニコンのレンズですが、逆光に関しては各社独自のコーティング技術を持っておりどこも似たようなものなんじゃないかと思っています、実際。
AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E EDですが、レンズレビューでは紫色のフレアが入るのが問題と言われていました、再現性があるのか試してみたのですが一度だけ再現することができました、この紫のフレアは発生する状況は限定的です。
気をつければフレアは出なくなるのでそんなに気にすることではないと思います。
NIKON D750 f/11.0 ss320 iso160
草津白根山の夜明け、こういう角度で写る日光からは特に影響を受けません。
光芒綺麗だなー程度に思っていたこのシーンですが、空がいい感じの色でそれに気がついてもっとまじめに撮影していればと思わされた瞬間でした。
NIKON D750 f/3.2 ss4000 iso100
草津白根山の弓池、朝日が上がり直射日光となりましたが特に大きなフレアも見当たりません。
池からも反射が来ているけどあんまり影響は受けていない様子。やっぱり逆行性能は優秀だと思うこのレンズ。
NIKON D750 f/11.0 ss320 iso100
大きなフレアが出たのはこの時、鷲羽岳の登りで太陽が出瞬間です。結構絞っていたんですけど普通にフレアが入りました。
斜め上中段くらいから浴びるとフレアが出るんだろうか?
NIKON D750 f/10.0 ss320 iso100
そしてこれ、問題の紫フレア。
やっぱり中段くらいの高さから光が差し込むと出やすいんだろうか、これまで使ってきたレンズでも似たような状況では普通にフレアが出ていたので対処はしやすいといえばしやすいけども。
少し動かすだけで外れてしまったので、この紫フレアを極端に恐れる必要性はないと判断。
NIKON D750 f/11.0 ss640 iso160
夏山で二ヶ月ほど使ってみて紫色のフレアが出たのは、一回のみでした。
それ以外のフレアは非常に小さいので、逆光耐性はやはり高いと評価。
こういった角度の撮影でも、他の単焦点だと白い粒が出たりしましたが、あんまりそういうのは見当たらず、普通に太陽に向かってカメラを向けれるレンズだと思います。
その他の撮影
花火大会に行ったので28mmを持って行ってみました。
結果は惨敗でした、花火大会など混雑が予測され、足でスポットを稼ぎにくいところではそもそも単焦点レンズは全くもって力を発揮することができません。
NIKON D750 f/13.0 ss10秒 iso100
あんまり参考にならないけども。花火を撮影する際もこのレンズを使いました。
花火を撮影する際は位置取りが全てだと思うのですが、このときは残念ながら位置が真横に近くさらにかなり距離が近かったため画角的にかなり厳しい撮影を強いられることとなりました。
正直20mmf1.8の方が対応力があってこういう時はいいでしょう。
というかニコンの単焦点では20mmは随一で優秀です、超広角なのに自然に映るし
解像力も非常に素晴らしい、画面隅々まで綺麗に写る。まず悩んだら20mmf/1.8を買えというくらい素晴らしいレンズです。
NIKON D750 f/16.0 ss15秒 iso100
単焦点は自分の足でスポットを探す関係上、固定位置で動けなくなる花火大会などにはなかなか向いていないと感じます。
あと赤川花火大会は升席で見る花火大会です、無料の席で見ても綺麗に見えません。
正面から見て初めて感動するように設計されているので横から見るとわけがわかりません。
打ち上げ花火、前から見るのが正解。
NIKON D750 f/16.0 ss10秒 iso100
撮影できてもトリミング前提になってしまうところが残念なところです。
でかい花火は割とフォーメーション気にせずに写すことができてよかったです。
28mmという画角は広そうに見えて狭い、ちょっと使いにくい画角だと思います。
ぼんやりと景色を見たときにだいたい見えている範囲がこの辺と言いますが、構図をしっかり考えなくてはものが入らなかったり、いらない被写体が中途半端に入ったりしてしまいます。
登山においては使いやすい画角ではないので、ダイナミックな絵が撮りたい場合は20mmや24mmを使うのが良いでしょう。
このレンズは比類なき解像力とボケの両立に価値があるので、他の単焦点同様ハマった時は確実にクリティカルになる装備と考えて良いかと思います。
ニコンの単焦点は20mm/24mm/28mmと3つの焦点距離が存在し、うち24mmと28mmにはf/1.4のレンズがある状態、24mmf/1.4と28mmf/1.8以外を購入したことのある僕からするとどれを買えばいいかと聞かれた時は20mmf/1.8か28mmf/1.4かなと答えるでしょう。
広角側の単焦点でどれを買うか迷っている方の参考に少しでもなれば幸いです。
レンズ沼は続く。
コメント
コメント一覧 (2件)
はじめまして、いつも楽しく読ませていただいてます。
剱岳素晴らしいですね!
私も先週末に登りましたが、手軽さ優先で、いつもコンデジを使っているので、やはり写りを見てしまうと…
いずれは、沼に足を踏み入れてみたいですね~
ちなみに、マジファックな道で2回滑りました(笑)
ルーティエ様
いつもご覧になっていただきありがとうございます!
剱岳は今年なんとしても登りたいという事で、念願かなったりなうれしい山でした……、記事にするときも気合が入りそうです。
山自体はカメラを二機持って登ったため、荷物がだいぶ重くてしんどかったです……。
沼は一度入ると楽しくなってしまうので、とてもお勧めです。
剱岳は鎖場よりも普通の道の方が正直怖かったです、僕もひやっとする場所がありました。