【中央アルプス】池山尾根からゆく中ア縦走、真夏のガス樹林で涙を流す旅

2018年8月10日から8月12日、中央アルプスは空木岳から木曽駒ヶ岳まで縦走してきました。
白山から帰ってきて数日、会社の納会の終了とともに埼玉を脱出した僕は中央アルプス空木岳登山口へたどり着きました。
テントを使うことができない中央アルプス縦走ですが、逆に避難小屋が充実しており避難小屋を渡り歩くことによりリーズナブルに南北を行き来することが可能です。

redsugar

ただし、空木岳からゆく木曽駒ヶ岳は非常につらい道のり……ッ!
空木岳から南駒ヶ岳に向かっても非常につらい道のり……ッ!

その稜線は南北どちらに行くにしても辛い、そう聞いていた僕は万全の準備を施し中央アルプス空木岳へと向かいます、そこで待っていたのは……「絶望のガスと一瞬の快晴、真夏のガスの中央アルプス稜線縦走」でした。

目次

中央アルプス空木岳~木曽駒ヶ岳縦走に関して

中央アルプス縦走に関して
中央アルプス縦走は何通りもパターンがありますが、今回はメジャーである木曽駒ヶ岳と空木岳をつなぐ登山となります。
一般的には木曽駒ヶ岳をスタートし南下する縦走コースですが、今回は空木岳から木曽駒ヶ岳へと向かう北上コースで歩きます。
このコースは登りがとにかくつらい池山尾根、空木岳でもう帰りたくなります。
空木岳に登頂後は木曽駒ヶ岳を目指して北上を開始しますが、檜尾避難小屋を利用し3日目で下山するという形で歩くこととなります。
コースとしては辛いのでお勧めできません。

非常につらいこのコースですが、見所は空木岳の駒岩や熊沢岳周辺の景色でしょうか。
小屋では檜尾避難小屋も定員が少なく、連休や週末は満員になることもしばしば……。
なので小屋から追い出されてツェルトで寝る人もいます。
日程は、今回は三日目の早朝の朝日を期待して工程を3日としましたが、早く歩くことができれば一日目空木岳、二日目に木曽駒ヶ岳のロープウェイまで行くことは可能だとは思います。
空木岳から木曽駒ヶ岳へは非常にアップダウンが多く、体力が削られることは必須。
道中は東川岳、熊沢岳、大滝山、檜尾岳、濁沢大峰、島田娘ノ頭と……何回登り返すんだこれ?というルートを歩く形になります。

駒ヶ岳ロープウェイ登山口へのアクセス
【基本は車で向かう】
【高速】浦和→駒ヶ根IC      6,540円/7,110円(ETC/普通)
いつもの駒ヶ根で降りてロープウェイに向かいます。
池山尾根はコースタイムが長いので、公共交通機関だと辛いかもしれません。

今回の中央アルプス縦走のスケジュール
【池山尾根から空木岳へ:1日目 】
登山口7:00→林道終点8:15→池山分岐9:25→マセナギ10:25→休憩地点12:30-12:50→避難小屋分岐13:10→駒岩14:05→駒峰ヒュッテ15:00
合計登山時間 8時間00分(標準CT7時間45分)

【空木岳から檜尾岳避難小屋へ:2日目 】
駒峰ヒュッテ6:00→空木岳山頂7:00-8:40→木曽殿山荘9:30→熊沢岳11:20→檜尾岳12:55→檜尾岳避難小屋13:10
合計登山時間 7時間10分(標準CT5時間30分)

【檜尾岳避難小屋から木曽駒ヶ岳へ:3日目 】
檜尾岳4:40→濁沢大峰6:05→極楽平7:25→ロープウェイ千畳敷駅7:50
合計登山時間 3時間10分(標準CT3時間30分)
二日で歩けるところを三日で歩いています、撮影の予定などがなければ二日で抜けてしまうことをお勧めします。

この登山で利用したお金
交通費往路   :6,540円
交通費復路   :6,540円
ガソリン代   :4,000円ほど
駒峰ヒュッテ宿泊費:3,500円(素泊まり)
食費      :2,000円
水       :1,200円
温泉      :750円(こぶしの湯)
ロープウェイ料金:1,370円
バス料金    :830円
合計 約26,730円~(意外に料金のかかる中央アルプス……!)

長く辛い池山尾根の始まり

すた丼

2018年8月10日午前4時35分、談合坂SA。
スタミナ丼からおはようございます、Redsugarです。
怒涛の夏の登山、毎週登山ということで本日の目標は空木岳。
ただの空木岳登山ではありません、今回は中央アルプス縦走……、そう、空木岳と木曽駒ヶ岳をつなぐアレです!!
このスタミナ丼を食べている早朝、これから僕の身に降りかかる悲劇の予感などは……ゼロでした。

早朝のSA

車移動の登山のいいところはSAでトイレに行けること、それ以外はない。
できれば運転なんてしたくないのですが、トイレ問題を解決するためには仕方がない。

池山尾根駐車場

午前7時00分、木曽駒ヶ岳ロープウェイ駐車場。
いつも車を止める木曽駒ヶ岳駐車場から少し離れた場所にある、空木岳へ通じる登山道がある駐車場へとやってきました。
先行の車は数台……、でもこれ空木岳の登山者じゃない気がする……。

空木岳登山口

午前7時10分、空木岳池山尾根登山開始。
車から積荷をおろして準備を整えたら早速登山開始です、本日の登山ルートは池山尾根。
木曽駒ヶ岳〜空木岳登山といえば普通は木曽駒ヶ岳からの南下コースですが、今回は逆の北上コースでいきます。
南下コースに比べると池山尾根を登りで使うので、体力的にかなり不利です。
宿はどちらのルートを利用しても檜尾岳避難小屋と、駒峰ヒュッテの2つを利用することになるかなと……。
特に駒峰ヒュッテは山頂直下で景色もいいので絶景撮影にはもってこいの立地でしょう。

空木岳登山口

池山尾根、本当は林道まで上がっていきたいのですが、周回コースを選択するとロープウェイの近くに車を置かなくては、帰りが悲惨なことになります。

空木岳林道
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最初は鬱蒼とした森に埋もれた林道をひたすら歩く、あっつい……。標高が全然低いので暑くてたまりません。

空木岳林道

虫よけのハッカスプレーを使っているにもかかわらず巨大なアブがずーっとたかってきます、夏場の標高の低い森、しかも8月は大体飢えたアブがいるから嫌いです……。

空木岳林道終点

午前8時15分、林道終点。
空木岳池山尾根を利用する場合大体の人が駐車する林道終点の駐車スペースまでやってきました、車なら10分もかからないだろうに……歩いたのでこんなに時間がかかってしまった。

池山尾根

立派な看板、空木岳山頂は遥かに先です。ここから地獄のような蒸し風呂登山が始まるなんて……。

池山尾根
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「もう帰りたい……」

池山尾根下部

緩やかな傾斜の登山道、道はウッドチップで埋められているように柔らか。森は美しい……。

池山尾根下部

でもせっかく空木岳に来たんだから最後まで登りましょう、大丈夫僕は虚無とはあまり縁がないので、きっと晴れた山頂を楽しめるはず。

redsugar

前向きになったところで目の前には深い樹林が延々と続きます、この先も終わることのない樹林が僕の心を打ちのめすのでした。

ガスの樹林と夏の熱気

池山尾根の水場

午前9時25分、池山分岐水場。
池山尾根には二箇所の水場が存在しています、登山口近くにあるこの水場と、空木岳避難小屋付近にある水場の二箇所。
猛暑が続いたこの年、どこの山でも水不足が叫ばれ悲惨なことになっていたこの年、水に関しては特に窮することの多いこの中央アルプスも悲惨なことになっていました。

水場情報
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「ん?置き手紙がおいてある……?」

登山をしていて初めてラブレターを受け取ったかもしれません、親切な美少女登山者がおいていってくれたんでしょうか?
どれどれと中身を見ていると……

要約「この先水全部枯れてます、この水場が最後です、ここで汲まないと死ぬかもね」

redsugar

……。

池山尾根下部
redsugar

お水がない。

池山尾根下部

積める限界の水、大体4リットルを積んだ最大重量で登ります、池山尾根が決して傾斜がきつくない尾根だったからなんとかなったものの、これが傾斜のきつい尾根だったらやばかった。

ガスの池山尾根

霧が出てくると幻想的な雰囲気が漂います。
こういうときはこういうときで雰囲気良くなるんですよね、撮影のためだけに曇りの日に出歩いてもいいかなという気持ちにさせられます。

ガスの池山尾根

マセナギ、山の地名は変わったものが多いですよね。アイヌ語とかなわけでもないのにカタカナの地名がホイホイある。

ガスの池山尾根

アップダウンでいうとそんなに登ったり下ったりが多い印象はなく。ひたすらゆっくりと登り続けるのが池山尾根の特徴かなと思います。

池山尾根の岩場

メジャーというわけでもないので、道はそんなに歩きやすいというわけでもないんですけど。
時折ワイヤーやロープが整備された岩場などが出現します。長時間登っている中で出現するこれらはなかなか体力を削ってきて辛い。

池山尾根の木道

ひたすら足を削りに来る階段、背負った水が体力を削っていく。
木曽駒ヶ岳からやってくればこの道はすべて下山路ということになり楽なんでしょうけども、何故か今回はこれを登山道に選択してしまいました。なぜって明日の朝の予報が晴れで、晴れた空木岳山頂に立ちたいからというわけなんですけどもね。

池山尾根の岩場

鎖を伝って滑りやすい岩の上を頑張って登り、徐々に体を上へ上へと運んでいきます。

くらい池山尾根
redsugar

「長い、長すぎる……」

まるで通勤のようです、長くて辛い、こんなん意味あるのかと問い詰めたい。気温も高く湿度も高いので容赦なく体力が奪われていきます。

稜線へ向かう

汗をかくと疲れる、赤石岳に登ったときに小屋番のおっちゃんから聞いた話、発汗は体にかける負担が大きいから汗をかかないようになるべく登りたい、と。でも今日はそんなのもう無理です、お湯の中を歩いているみたいに気分が悪い。

ガスの樹林帯

幻想的な雰囲気が漂う池山尾根の森の中ですが熱風吹き荒れる霧の山、ここにいるだけでミストサウナに入っている気分です。

休憩スポット

午後12時40分、休憩。
限界が来たので珍しく休憩することにしました、チェックポイントで水を飲むとかではなく、ザックをおろして行動食を食べながら休憩。あんまりしない行動なんですけど、あまりの暑さにたまらず体力が限界を迎えました、千代の富士です。

池山尾根を登る

電波はバリバリ通じる池山尾根、奥さんに電話してえらく辛い尾根でもう帰りたいと一通り泣き言を話したあとに登山を再開します。霧も晴れてきて日光が差し込んできたのですが、おかげでなおのこと気温が上がり不快指数がうなぎのぼりに。

空木平分岐

植生が変わり背の高い植物が消え、ハイマツがメインに差し替わってきました。

空木岳稜線へ

そしてようやく追い求めていた稜線へとたどり着きます、樹林の上は雲と青空の世界でした。多少カラッとした雰囲気になり、気持ち的にもここでだいぶ癒やされました。

空木岳稜線へ

長い長い池山尾根、千代の富士になりながらもついに森林限界をこえることができました。
中央アルプスや南アルプスは北アルプス北部の森林限界の低さや、東北地方の森林限界を見習ってほしい。そう思えるくらい辛い登山道でした……。

花崗岩とハイマツに彩られた中央アルプス稜線

駒岩に向かう

森林限界を越えたところでついに本日の第一登山者とすれ違います。前日は山頂いい天気だったんでしょうか、挨拶をかわしただけでした……。

中央アルプスの眺め

空木岳の稜線は中央アルプスらしい景色が広がります。
中央アルプスらしい景色とは僕の中では北アルプスと南アルプスと比べるとハイマツが多くて、ゴロゴロした丸い花崗岩が多い……(ざっくり

駒岩

午後2時0分、駒岩。
空木岳池山尾根の名物ポイント駒岩までやってきました。
超広角レンズの14㎜で撮影したのでいまいちサイズがわからないかもしれません。大体高さ10mくらいでしょうか?かなり巨大な岩です。なんか気持ち顔に見えるんだけど……?

中央アルプスの谷間

駒岩を通過して中央アルプスの深い谷間が眼下に広がる登山道を小屋に向かい歩きます。
木曽山脈の谷は深いぞといわれていますが、確かに深い、八百八谷ということですが、見た感じどれも底まで一気に落ちていくようです。そして稜線のいたるところに花崗岩が見える。

空木岳稜線へ

木曽山脈は花崗岩の山といわれるくらい花崗岩が多いということですが、このハイマツと白い花崗岩に覆われた稜線……、これが中央アルプス……。北アルプスや南アルプスに比べると組成の個性がしっかりしているなと思います。

空木岳稜線へ

画面中央がピークのように見えますが、山頂はピークを越えた先。地味に道のりが長い……。

駒峰ヒュッテ

稜線をゆっくりと歩き続けてピークを越え、そしてついに駒峰ヒュッテが見えてきました。
空木岳山頂直下に立つ理想的な小屋です、夏山であれば宿泊料も安く小屋の中は大変きれい……!ここに来たかった!!

駒峰ヒュッテ、空木岳山頂直下のいいお宿

駒峰ヒュッテ

午後2時55分、駒峰ヒュッテ到着。
めちゃくちゃ長い池山尾根でした、樹林帯の中は嫌な魔法にかかっていたんだと思いたい。

駒峰ヒュッテのテラス

駒峰ヒュッテはご覧のようにキレイなテラス席が用意されたおしゃれ小屋です。山頂までは数分の立地、写真撮影の拠点とかにもなる最高の立地と言えるでしょう。

駒峰ヒュッテ内部

小屋の二階はきれいに磨かれた床が特徴的、銀マットをお借りして、その上に寝袋を引いたら今日のお宿完成です。
この日は数人の宿泊客がいらっしゃるようでした。こんなきれいな小屋で、宿泊費は素泊まり3500円、破格です。

駒峰ヒュッテでの食事

なっちゃんと水を購入して外で即席麺を作り、お昼ご飯をいただきます。
このテラスは非常に居心地がいいんですけども、やや虫が多い、ムカつくなコバエめ。

駒峰ヒュッテの水

小屋ではペットボトル詰めの水が販売されており、水場のないこの中央アルプスでの生命線となっています。
いろいろと心配なので2リットルを超える量の水を購入しました、お水は大事です。

駒峰ヒュッテから山頂を眺める

あれ、ご飯食べてたら青空が……。
サンダルに履き替えてしまったので山頂に行きたくてもいけない、そんなときにだいたい晴れるものです、悲しいなおい。

駒峰ヒュッテから街を見下ろす

池山尾根という非常に体力を使う尾根を登りきったあとに現れたこの駒峰ヒュッテでゆったりと休みすぎてしまったため、夕方山頂が晴れていてもなんのことやらといったふうな状況で、寝袋でグーグー寝てしまうのでした。

空木岳の晴れた稜線の景色

中央アルプス縦走
非常に体力を使う池山尾根、始まってしまった中央アルプス縦走……!
初日はガスの尾根をひたすら登り続けるという罰ゲーム的な登山となりましたが、ガスの森はガスの森で美しいはずでした。
この頃はまだそういったことをしらす、ガスの森を活かして登山したり撮影することができなかったのです。
森の静かさと美しさは奥秩父的で、稜線は花崗岩とハイマツの山と少し地味な特徴の空木岳。
駒峰ヒュッテの混雑を予想して初日に宿泊することにしましたが選択肢はあっていたようです。
さて、翌日は空木岳頭頂から中央アルプス木曽駒ヶ岳へと向かいます。
晴れた空木岳の展望、南駒ヶ岳へと連なる清々しい稜線、なんとか晴れ間が笑ってくれた木曽山脈。
花崗岩と松が彩る中央アルプス、後編もぜひご覧ください。

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